ファッショニスタは流行を敏感に嗅ぎ取ることができる。高級ブランドは必死さを匂わせることなく、積み上がった売れ残り在庫を処分する方法を見つける必要がある。    高級品業界は、コロナ禍での散財をへて消費者が冷静になるにつれて減速している。ベイン・アンド・カンパニーの推計によると、2022年の業界全体の売上高は、為替変動の影響を除くベースで前年比15%増加した。だが、米国の消費者は昨年末、欧州の消費者も今年の夏には出費を抑え始めた。中国でも1月にコロナ関連規制が解除されて以来、高級ブランドが期待していたほどの消費はみられていない。今年の高級品業界の成長率は22年の半分程度になると予想されている。減速により、ブランドの直営店、独立系ブティック、ネット通販業者はいずれも売れ残り在庫を多く抱えている。高級品ネット販売の独マイテレサ(MyTheresa)の経営トップは同社が「2008年以降で最悪の市況」に見舞われ、直近の四半期末時点の在庫は1年前より44%増えたと明らかにした。英高級ブランドのバーバリーは百貨店から売れ残った商品を買い戻している。