米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は10月のある午後、ペンシルベニア州の中小企業経営者らと面会した。その際、ジュリー・キーンさんは自身が経営する農場と食品市場にとって、この2年間にわたる高インフレがいかに不意打ちとなっているかを吐露した。同州ヘラムにあるフリンチボーズ・オーチャード・アンド・ファーム・マーケットの共同経営者であるキーンさんは「先が読めなくなってしまった」と話した。「そうした状況で事業を営むのは非常に難しい」パウエル氏は淡々とした口調でキーンさんに明確な解決法が一つあると語り、「われわれがインフレを抑え込む」と述べた。ここまでは順調だ。FRB高官の誰もが2年前には想定していなかった怒濤(どとう)の利上げの結果、インフレ率は今年に入り、多くの高官らの予想を上回るペースで鈍化している。
FRBの利下げ巡る疑問 インフレ退治は順調だが
40年ぶりのハイペースで利上げしてきたFRBはいつ利下げを開始できるか
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