アップルは中国に集中した生産拠点を分散する計画を進めているが、その最前線に位置するのがインドだ。しかし、障害となるのは不安定なインフラだけでなく、事態を複雑化する大きな要素はもう一つある。強力で独立した労働運動だ。これは良くも悪くも、労働組合が一党支配の中国共産党から独立した政治勢力として存在しえない中国との大きな違いだ。そして、2024年春には激しい争いが予想されるインドの総選挙が控えている。アップルの計画にとって重要な、始まったばかりの労働市場改革は、政治的な集中砲火に巻き込まれる可能性がある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は8日、アップルが今後2~3年以内にインドで年間5000万台超のiPhone(アイフォーン)を組み立てる計画だと報じた。これは2022年の世界出荷台数の25%ほどに相当し、調査会社カナリスによると、昨年インドで生産された6%から大幅に増加することになる。