ユダヤ人国家イスラエルとそれを支えるシオニストの運動は、以前より強くなって今回の危機を脱しつつある。それが1週間のイスラエル訪問を経て筆者が下した結論だ。筆者は、北部および南部の戦闘地域を訪れ、イスラム組織ハマスに占拠されたガザ地区周辺のキブツ(農業共同体)を見て回ったほか、政府高官から10月7日のハマスによる攻撃を生き延びて生活の立て直しに苦闘している人々まで、さまざまなイスラエル人と会った。イスラエルの結束は強まり、自分たちの国家のために戦うという国民の決意はさらに強固になっている。そして世界中のユダヤ人がシオニストの大義に尽くす決意を新たにしている。筆者は、あらゆる政治的立場のイスラエル人と話した。10月7日のハマスによる攻撃の前に行われていたベンヤミン・ネタニヤフ首相の政権に対する抗議活動のリーダーをはじめ、戦時内閣の高官に至るまでさまざまな人々から、筆者が聞いたのは戦争が終わるまで政府を支持するという彼らの誓いの言葉だけだった。イスラエルでは政治は死んでいない。ネタニヤフ氏の辞任を求める抗議活動は再開されており、水面下では深刻な意見対立が吹き出している。しかし、これらはいずれもイスラエルの戦争遂行への決意に影響を及ぼしていない。すべての政治陣営のイスラエル人が、戦争が終わる際には国家安全保障を最優先で考える決意だ。