作家やコラムニストとして
活躍する多くの卒業生たち
埼玉県庁が置かれているさいたま市浦和区の住宅地の中にある県立高校だ。全国の公立の女子高で校名に「第一女子」を使っているのは、ここだけだ。通称「一女」で通っており、名門の女子校だ。
テレビに出演しないから顔を知らない人も少なくないだろうが、卒業生に日本指折りのコラムニスト、エッセイストである中野翠がいる。1985年以来、週刊誌サンデー毎日で「満月雑記帳」というコラムを毎週、連載してきた。40年近く続き、他のエッセーを合わせ通算約1500回に及んでいる(「満月雑記帳」は22年10月9日号で1402回をもって終了、翌週号からは「徒然雑記帳」に改題し、連載を継続)。
中野は浦和第一女子高校を経て早稲田大政経学部を卒業した。出版社勤務などの後84年に初の単著『ウテナさん祝電です』を刊行した。書き下ろしのエッセーだった。サンデー毎日での初回掲載号の日付は、85年のちょうど39歳の誕生日(46年7月21日生まれ)だったという。
映画や、本、落語に関する文章、社会・事件に関する批評などが、毎週、ちりばめられている。「年齢も性別も職業も関係なく、どの世界にも一定数いるマイナーな人に向けて書くタイプ」(23年9月22日朝日新聞朝刊)という。
児童文学作家・翻訳家の石井桃子がいたが、2008年に101歳で死去した。
『クマのプーさん』『ピーターラビットのおはなし』と言った数々の欧米の児童文学の翻訳を手がける一方、『ノンちゃん雲に乗る』など絵本や児童文学作品の創作も行った。日本芸術院会員にもなった。日本芸術院賞などを受賞している。
石井は、「一女」から日本女子大学校(現日本女子大)英文学部を卒業、文藝春秋などに勤務した。太宰治に憧れていたという。
今関信子、越智典子も児童文学作家だ。
ノンフィクション作家・コメンテーターの吉永みち子も、OGだ。日本初の女性競馬新聞記者で、『気がつけば騎手の女房』で85年、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。税制調査会など政府の各種会議の委員を務めている。
吉永は「一女」を経て、東京外国語大外国語学部インドネシア語学科卒。夕刊紙日刊ゲンダイの記者を経て77年に9歳年上の騎手と結婚、この体験をつづったエッセーで大宅賞を受賞した。専業主婦を経てテレビのコメンテーターとなった。後に、この騎手とは離婚している。
直木賞候補にも挙がった小説家の須賀しのぶもいる。
浦和市議や埼玉県議などを務め、ベトナム反戦運動などに取り組み、硬派の評論家として知られる小沢遼子もOGだ。法政大社会学部卒だ。
俳人の鎌倉佐弓がOGだ。鎌倉の俳句は、中学や高校の国語教科書や教材にも引用されている。
漫画家では赤石路代、まるやま佳、伊藤結花理、北川玲子らが出ている。