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リーマンショックや東日本大震災の混乱を経て、全国の多くの地域で新築マンション供給戸数が反転した2012年。13年は消費増税前の駆け込み需要が出るのは確実で、業界は久しぶりに明るいムードに包まれている。
そんな中、「大京が打って出た」と話題になったのが穴吹工務店の完全子会社化。307億円という大枚をはたいての買い物だった。
穴吹は09年に会社更生法の適用を申請。大京は投資ファンド、ジェイ・ウィル・パートナーズと共同で、スポンサーとして経営再建をサポートしていた。
近年、マンション管理事業に力を入れている大京にとって、リーマンショック前、供給戸数で業界1位になったこともある穴吹の既存物件数の多さは大きな魅力だ。
加えて、穴吹は香川県に本社を持ち、特に西日本の中核都市で強い地盤を誇る。
東日本中心の大京にとって、エリアの補完関係を望める相手なのだ。その土地に詳しい人材や情報のネットワークを手に入れることで、土地の取得や、ゼネコンの手配など、あらゆる業務がやりやすくなる。
両社の販売戸数を合算すると、業界4位に浮上。管理戸数は業界トップに躍り出る。資材調達の共同化や業務効率化などによるコスト削減効果も子会社化のメリットの一つだ。
かつて、自身が経営不振に陥り、オリックスに支援された経験を持つ大京。「ライオンズマンション」ブランドは人気が低いとささやかれる局面もあったが、“大金”を投じて再び勝負に打って出る。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 津本朋子)