眼科医が警告する 視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと写真はイメージです Photo: PIXTA

日頃から目を守るために目薬やサングラスを気軽に使用する人は多いだろう。しかし、それらは取り扱い次第で目にとって非常に危険なものに変わると眼科医の著者は警告する。知らず知らずのうちに目が傷つくリスクとは。本稿は、平松 類『眼科医が警告する 視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと』(SB新書)の一部を抜粋・編集したものです。

古い目薬は「ばい菌の培養液」
残っていても1カ月で買い替えを

 目薬の容器を押すと、1滴の薬液が落ちてきます。このとき目薬の容器内は一時的に陰圧になります。スポイトを思い浮かべていただけるとわかりやすいかと思いますが、手の圧を緩めると、内側へと吸い込む力が働きます。

 つまり、目薬の容器は外から不純物を取り込みやすく、内部で雑菌が繁殖する可能性があるということです。ここまでいえば、同じ目薬を何カ月も使い続けるリスクは想像できるでしょう。

 開封し、最初に使ってから1カ月以上たった目薬を使うのは、ばい菌を目に差しているようなものといっても大げさではありません。1回でも口をつけて飲んでから1カ月たったペットボトル飲料なんて、誰も飲みませんよね。理屈としてはこれと同じです。

「古い目薬は感染症の元」──そう心得て、薬液が残っていても惜しまず「1カ月」を目途に買い替えましょう。そもそも目薬の容量は、通常、「1カ月で使い切る量」になっていません。「買い替え時に余っているのが普通」なのです。

 そのうえで、なるべく目薬の容器に不純物が入らないよう注意することも大切です。

 一番気をつけたいのは、目薬の容器が陰圧になる瞬間、つまり目薬を差す瞬間です。確実に点眼したいがために、よく眼球に触れそうなくらいにまで容器を近づけて差す人がいますが、眼球は無菌状態ではありません。細菌を取り込んでしまわないために、最低でも1センチメートルほどは離した位置から点眼してください。

目は外部にむき出した唯一の臓器
紫外線をサングラスで防御しよう

 肌の紫外線対策は万全なのに、目の紫外線対策には無頓着。なぜなら必要がないから──。

 そんなふうに思っている人は、さまざまな目の病気になるリスクを自ら高めてしまっています。一生のうち、できるだけ長く目の健康を維持したいのなら「絶対に」必要だと思ってください。

 目は体のなかで唯一、「外部にむき出しになっている臓器」です。内臓は硬い骨や分厚い筋肉、脂肪、さらには皮膚という多層構造で守られていますが、目は外界から光を取り入れなくてはいけない関係上、外部にさらされています。この認識が薄い人が多すぎるように思えてなりません。