経済の規模を人口で割った「1人当たり国内総生産(GDP)」は経済学の授業で真っ先に出会う統計の一つだ。生活水準や経済的な豊かさを国同士や経時的に比較するときに頼りになるデータである。しかし世界の高齢化が進むにつれて、1人当たりGDPの有用性は低下しつつある。理由は単純で、GDPが1年間に生産された全てのモノとサービスの市場価値だからだ。労働人口から外れた人はほとんどの場合、もはやGDPに貢献していない。1人当たりGDPは「ますます誤った印象を与える指標」。経済学者のヘスース・フェルナンデス=ビジャベルデ(ペンシルベニア大学)、グスタボ・ベンチュラ(アリゾナ州立大学)、ウェン・ヤオ(中国・清華大学)の各氏は新たな論文でそう主張している。彼らが1人当たりGDPの代わりに注目するよう提案しているのが生産年齢人口1人当たりGDPだ。