また、精巣上体全体にわたってアルコール摂取によりミトコンドリアDNAのコピー数が変化し、この変化はアルコールに曝露した精子のミトコンドリアDNA含有量の増加と関連することも判明した。

 アルコールを摂取したマウスでは、アルコールの離脱から1カ月が経過してもミトコンドリアDNAのコピー数の増加が維持され、small RNAの一種であるマイクロRNA(mir-196a)はアルコールを摂取していないマウスの約100倍であった。

精子は60日間かけて作られる

 こうした結果を受けてGolding氏は、「この研究では、アルコールからの離脱期間でも、精子はアルコール摂取の悪影響を受け続けていることが明らかになった。これは、精子がもとの正常な状態に戻るまでには、これまで考えられていたよりもはるかに長い時間がかかることを意味する」と大学のニュースリリースで述べている。

   またGolding氏は、「離脱期間中に肝臓は恒常的に酸化ストレスにさらされるため、肝臓から体全体にそのシグナルが送られる。生殖系はそのシグナルを、『酸化ストレスが非常に強い環境に置かれている』と解釈し、その環境にも適応できるように子孫をプログラムしている可能性がある」と説明する。そして、そうした適応が、胎児性アルコール症候群のような問題を引き起こしている可能性が高いとの見方を示している。

   Golding氏は、今回の研究で得られた知見により、妊娠アウトカムが改善するとともに、アルコール関連の先天性異常の責任を母親にのみ求める考え方に変化が生じることに期待を示している。また、「精子は60日かけて作られ、アルコール離脱には少なくとも1カ月かかるため、安全を期して、父親は、妊娠の3カ月前からアルコールの摂取を控えるべきだ」と助言している。(HealthDay News 2023年12月18日)

https://www.healthday.com/health-news/fertility/men-who-want-to-be-dads-should-take-a-break-from-alcohol

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