気候変動は、世界の農業の形を既に変え始めている。中でも世界で最も人口の多いインドは脆弱(ぜいじゃく)に見える。異常気象だけでなく政府の価格統制があるためだ。インドは有数の食料輸出国でもあり、この問題はインドと世界の双方にとって喫緊の課題となっている。だが、政治がその解決を極めて難しくしている。昨年12月上旬、インドはタマネギの輸出を今年3月まで禁止すると発表した。国内価格を抑えるための取り組みだ。政府は過去1年半で既にコメ、小麦、砂糖にも輸出制限をかけていた。インドは世界1位のコメ輸出国であり、砂糖とタマネギの輸出では2位。小麦の生産規模も大きく、輸出禁止は世界的に混乱を引き起こしている。米シンクタンクの国際食糧政策研究所(IFPRI)によると、コメの価格は昨年7月から10月の間にタイ米が14%、ベトナム米が22%上昇した。インドが7月にコメの輸出に制限をかけた後、マレーシアとフィリピンは価格上昇を抑えるため、それぞれ独自の措置を導入した。
インドの「食料安全保障」は世界の問題
原因は気候変動だけにあらず
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