災害で病気・ケガをした人に加え
持病の治療や薬の処方も無料で受けられる

 災害救助法による医療は、救護班が応急的に行うものだ。だが、発災直後の混乱期で、命に関わるような緊急事態には、病院や診療所で応急的に行われた医療も、災害救助法の対象となって、無料になることもある。

 一方、災害救助法が適用された地域でも、通常通りに病院や診療所が診療を行っている場合は、平常時と同じように、健康保険を使って医療を受けることになる。

 災害救助法による救助期間は、原則的に災害の発生日から14日間で、災害の混乱が続く場合は、適宜延長される。

 救助の対象となる人は、「災害で医療の途を失った者」だ。災害救助法は、平等を原則としており、救助を必要とするすべての被災者に対して、どのような事情があっても、平等に救助の手を差しのべることとなっている。

 そのため、災害によって医療を受ける手段を失った人なら、誰でも救護班からの医療を受けられる。災害で病気やケガをした人はもちろんのこと、災害とは直接関係なくても、災害によって医療を受ける手段が閉ざされた人には、平等に医療が提供される。たとえば、災害前から高血圧症や心疾患などの持病がある人が、薬を持ち出せないまま避難した場合に、避難所で必要な薬を処方してもらうことも可能だ。

 経済的な要件も問われないので、経済的に余裕のある高所得層も、お金のない人も、無料で必要な医療を受けられる。地域住民はもちろんのこと、たまたまその土地を訪れていた旅行者なども対象だ。

 ただし、災害救助法による医療は、災害による医療機関などの混乱が回復するまでの空白を、一時的に埋めるために設けられたものだ。必要な医療は受けられるが、あくまでも応急的なもので、混乱時にあえて治療しなくてもよいものについては対象にならない。また、避難所生活が長期にわたるような場合を除いて、病気やケガ、感染症の予防などは対象にならない。

 応急的なものではあるが、発災直後の避難所や救護所などで、救護班から受けた医療は、誰でも無料だ。災害によってケガをしたり、体調を崩したりした場合はもちろんのこと、持病の薬が必要な人などは、お金のことは心配しないで、救護班に治療の相談してみよう。