5 自己効力感
挑戦権(資格)を得るために大切なこと、その5は「自己効力感」です。自己効力感(self-efficacy)とは心理学者であるアルバート・バンデューラが提唱した概念です。これはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、すごく簡単に説明してしまうと「できそうだと思える」「きっとうまくいく」など、自分の可能性を信じられることです。自己効力感を構成する要素はおもに4つありますので、それぞれ説明していきます。
要素1:自分の成功体験
要素その1は「自分の成功体験」です。これから挑もうとしている課題に対して、すでに類似のケースで成功している経験があれば「以前どうにかできたから、今回もどうにかできるだろう」と思いやすくなります。また、これまでに何度も成功を重ねている人は、自分に対する信頼(=自信)が高まっていることが多く、挑戦する課題ごとではなく、ベースとしての自己効力感が高くなっている場合があり、何事においても前向きな姿勢で臨みやすくなります。
要素2:他人の成功体験
要素その2は代理的経験=「他人の成功体験」です。自己効力感を高めるのは自分の成功だけではありません。他人の成功から「あのようにすれば自分もうまくいきそう」「身近な人たちもできているのだから、自分もできるのではないか」と思えるようになるパターンです。これは就職や転職だけではなく、副業を始めるときや起業するときも同様のことが言えます。
要素3:人からの言葉要素

青田努 著
その3は言語的説得、つまり「人からの言葉」です。人は一人では戦えません。自分だけでは気持ちを奮い立たせられず、自信を持てないこともあります。そんなときに、他人から「あなたならできると思いますよ」などと肯定的な言葉をかけられると、勇気をもらえるのではないでしょうか。自分が信頼している人からの言葉であれば、より強い影響があります。もし、あなたのまわりにキャリアに思い悩んでいるチームメンバーがいたとしたら、肯定的な言葉をかけたり励ましたりすることで、挑戦するエネルギーになるかもしれません。
要素4:体調
要素その4は生理的・情動的喚起、すごく簡単に言ってしまうと「体調」や「健康状態」です。体調が良いときには何の問題もなく取り組めることであっても、体調が悪いと「できる気がしない」となってしまう場合があります。
そのため体調やメンタル状態を健全に保つことは、自信を保ち新たな第一歩を踏み出していく上でのベースとなります。仕事や日常生活が忙しくなってくると健康管理がままならない状態にもなりかねませんが、意図的に休息をとり、自分の健康や体調を整えていくことがより一層重要になるのです。