石材の加工工具の販売から新展開へ、床の滑りを止める「グリップラボ」が成長

──御社の事業内容を教えてください。

高取 九州一円で、石材の切削や研磨加工をする機械工具を、石材店に販売しています。義父が1991年に創業し、2010年に私が結婚を機に入社し、後を継ぎました。

石材の加工工具の販売から新展開へ、床の滑りを止める「グリップラボ」が成長代表取締役・高取元樹氏。1979年生まれ。九州大学経済学部卒業後、タカギで家庭用浄水器の拡販に従事。2005年、JIMOSに入社し、化粧品などの販売マーケティングに従事。10年に、結婚を機に、義父が創業したイシケン機工に入社し、事業を承継。

 業績は私が入社した頃から徐々に下がっていました。お墓離れが進んだことや、お墓の生産や加工自体が中国で行われるようになったことで、国内の石材店の仕事が減り、道具の需要も減ってしまったのです。

 そこで一般のお客さまに直接何かを販売する事業を模索し始めました。まずはお墓用品のインターネット通販をスタート。さらに、18年には「グリップラボ」という新事業を立ち上げました。

──「グリップラボ」の事業内容は?

高取 マンションや一般住宅、店舗、工場などの床や階段に、滑り止め施工をしています。

 近年は超高齢化社会の到来に伴い、床で足を滑らせて転倒する事故が年々増加しており、転倒・転落による死亡者数は年間1万人を超えています。また、職場での転倒などによる労災事故も増え続けています。

 弊社も石材店から「お墓の石で滑って危ないとお客さまから言われたのだが、何かよい手はないか」と相談を受けていました。そこで滑り止めの手段を探していたところ、「クリアグリップ」と「カパラグリップ」という防滑剤を見つけました。これはよい商品だと感じ、研修を受けて自社で施工するようになったのです。

──「クリアグリップ」と「カパラグリップ」の特徴を教えてください。

高取 両者に共通するのは、床に塗るだけで、強力な滑り止め効果が得られることです。不用になった陶磁器や瓦などを粉末状にした骨材を特殊な樹脂でコーティングすることで、国の定めた基準値をはるかに超えた防滑性能を実現します。