クリアグリップは透明なので、塗った後も見た目が全く変わりません。マンションや商業施設のエントランスや大理石・御影石で造られた通路、一般家庭の玄関など、外観が気になる場所に安心して使えます。

 カパラグリップはダークブラウンや赤などの5色があり、クリアグリップよりもさらに強力な防滑効果を持っているのが特徴です。また他の防滑工法は施工してもすぐに剝がれてしまうものもありますが、カパラグリップは非常に剝がれにくく、ほぼノーメンテナンスでOKです。

──施工金額の目安は?

高取 クリアグリップが1平方m当たり5000~6000円。カパラグリップが同8000~1万円です。最近は滑りにくい床材もありますが、それと入れ替えるよりは低コストで施工可能です。また工期も短く、一般住宅の床なら、午前に施工して午後からは問題なく歩けます。

──どんなクライアントが多いですか?

高取 これまでに70件ほど施工していまして、マンションや飲食関係の店舗が多いですね。また、大分空港ターミナルビルの屋外通路はすべて弊社の防滑加工がなされています。個人住宅も、滑ってけがをしたのをきっかけにご依頼を頂きます。施工した後には皆さんに「すごく安心だ」と喜んでいただけるのが、うれしいです。

──やりがいのある仕事ですね。

高取 ただ、お客さまの開拓はすごく難しい。何かトラブルがないとなかなか防滑加工をしようとは思いませんからね。「滑り止めの専門店」と銘打ったサイトを立ち上げ、力を入れています。北部九州で玄関などが滑ってお困りの方に絞り込んで訴えることで、サイトから多くのお問い合わせを頂けるようになりましたが、これだけでは限界があります。

石材の加工工具の販売から新展開へ、床の滑りを止める「グリップラボ」が成長展示会への出展(左)と施工風景(右)
●有限会社イシケン機工 事業内容/石材の切削・研磨加工に関わる機械工具の販売、床の洗浄・防滑施工、従業員数/6人、所在地/福岡県八女市黒土243‐1、電話/0943‐30‐3888、URL/griplab.jp

 そこで、滑り止めの実演をしてお客さまの関心を集めようと、展示会にも積極的に参加しています。ありがたかったのは、普段から取引をさせていただいている筑後信用金庫さんにお誘いいただき、「しんきん合同商談会」に3回参加させていただいたことです。福岡・佐賀・長崎の13信用金庫が2年に1度合同で行い、300社以上が参加する商談会で、実際に仕事に結び付きました。他にも全国の信用金庫のビジネスマッチングサイトも教えていただき、とても親身になってサポートしていただいています。

──今後の抱負をお聞かせください。

高取 潜在的に床の滑りやすさで困っている場がたくさんあるはずなので、そうしたお客さまを開拓していき、課題を解決する一役を担いたいですね。弊社だけでは拡販力に限りがあるので、拡販にご協力いただけるパートナー企業さまも開拓していきたいと考えています。

(取材・文/杉山直隆、協力/筑後信用金庫、「しんきん経営情報」2024年2月号掲載)