3世代分の「捨てられない」が
たまり、残され、詰め込まれた家
郊外の一軒家に暮らす60代前半の女性、千恵美さん(仮名)からの片づけ依頼。夫と死別後、実家に戻って育てた子どもたちは数年前に独立し、自宅で介護していた父親も半年前から施設に入所。かつて3世代が暮らした住まいで、彼女はひとり暮らしをしていました。
4LDKの広いはずの一軒家で、彼女はリビングに布団を敷いて寝ていました。洗濯物を干すのも、着替えるのもリビングのようです。そして「ここで寝られるようにしたいんです」と案内された和室の扉を開けた瞬間、私は息をのみました。目の前にモノの山。私の背丈以上にモノが積まれ、和室は一歩も踏み込めない状態だったからです。
家事代行で対応可能な片づけレベルをはるかに超えており、正直「大変なところに来てしまった…」と思いました。
ただ、救いだったのは、千恵美さんが「なんとしても片づける!」という強い意志に満ちていたこと。こうした環境に暮らす人にありがちな、フワフワして地に足がつかない雰囲気が不思議となかった。「私の手には負えない」とお断りする選択も十分アリでしたが、私はイチかバチかに賭けることにしました。
「今日一日やってみて継続が難しそうだと感じたら、はっきりお伝えします。その場合は別の方を探してください」
「わかりました」
「これはさすがに、捨てて減らさないと難しいですよ」
「そのつもりです。覚悟はあります」
彼女は早速、ゴミ袋にモノを詰め始めました。