人生をかけたチャレンジが
片づけを後押しした
千恵美さんは、とある挑戦を控えていました。父親の介護が一段落したのをきっかけに、大好きな料理を本格的に学ぶ計画を立てていたのです。その辺のお料理教室ではなく、プロを育てる調理の専門学校。
「死ぬ気で勉強しないと落ちこぼれる」「お金は振り込んでしまったから、もうやるしかない」と、退路を絶ったうえでの一大チャレンジでした。
あとは、自宅で料理の予習・復習するために使い勝手のいいキッチンと、座学スペースを整えるだけ。入学までは2カ月しかなく、どこからどうしたらよいものかと途方に暮れていたとき「たまたまテレビで観たseaさんの『依頼者に寄り添う片づけ』にピンときて、サポートを頼むことに決めた」のだそうです。
千恵美さんは「スイッチが入ると動ける」タイプの方だったのでしょう。期限を切ったことでエンジンがかかり、部屋の入り口にあるモノからどんどん処分を進めていきました。これだけ捨てられる人がどうして今まで片づけられなかったのか、不思議なくらいでした。私はアシスタントのごとく、いっぱいになったゴミ袋を庭に出して積み上げていくだけ。
結局、初日は休憩を挟んで6時間、集中力を切らすことなく和室の取捨選択と向き合い、この日だけでゴミ袋は20個以上、本も10箱以上を捨てることができました。
これなら家は確実に変わっていくと確信。私は、千恵美さん宅の環境整備に2カ月間、伴走していくことを決めました。