販売・建設ペースが示す中国住宅市場の
需給調整に要する年数

中国住宅市場は調整長期化へ、時間をかけた“漢方治療”はさらなる停滞につながる販売・建設ペースが示す中国住宅市場の需給調整に要する年数 出所:Oxford Economics

 今後数年の中国経済は、4%程度の成長率維持が精いっぱいではないか──。そう悲観せざるを得ない理由は、行き過ぎた住宅市場の調整が長期化することだ。

 中国の不動産バブルは2021年をピークに調整局面に入り、住宅の販売や着工ペースの減少が続く。多額の借り入れや住宅購入者の前渡し金を原資に住宅開発を進めてきた不動産開発業者は、資金繰りに四苦八苦している。

 この事態に当局の対応はどうか。販売面では、不動産投機抑制策の緩和や銀行への働き掛けで梃入れをしている。建設面では、不動産開発業者が完成住宅の受け渡し前に倒産しないよう、銀行を通じて資金繰りの支援を行っている。

 しかし、このような販売や建設の取引フローの維持だけでは、増え続ける膨大な住宅在庫の処理には「焼け石に水」だ。調整圧力が何年も続くことは、簡単な試算で明らかになる。