みなさんは、世の中のちょっとした変化に敏感でしょうか。
数字に強い人は、ちょっとした変化に「違和感」を感じ、自分で仮説をたてて、その理由を数字で考えていきます。
経営コンサルタントとしてこれまで2000社の財務分析、1000人以上のビジネスパーソンに会計セミナーを実施してきた平野薫氏は、①世の中の事象に違和感を持つ→②違和感にフォーカスする→③自分なりに仮説を立てる→④数字で根拠を分析し検証する→⑤人に話したりブログに書いてアウトプットする、という一連のルーティンを日々継続して行うことが数字に強くなるコツだと言います。まずは、「違和感」を放置せずフォーカスすることが大切なのです。
本連載では、「世の中のふとした疑問を数字で考えるエピソード」が満載の話題の書籍『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』から一部抜粋し、数字に強くなるエッセンスをお届けします。
令和における三種の神器
1950年代後半、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が「三種の神器」と言われ、「もはや戦後ではない」という言葉と共に普及していきました。その後、1960年代半ばにカラーテレビ・クーラー・自動車の3つが「新三種の神器」、2000年代にデジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビが「デジタル三種の神器」としてもてはやされました。
それでは令和時代の三種の神器をご存じでしょうか? ロボット掃除機・乾燥機付きの洗濯機・食器洗い乾燥機の「時短家電三種の神器」です。昭和生まれの磯野波平的な発想を持っている世代からすると家事で楽をするとは何事だ! と思われるかもしれませんが、夫婦共働きが当たり前になった昨今、いかに家事を効率化するかということが平和な家庭環境を維持する上でとても重要です。
家事が趣味であり癒やしの時間であるという場合を除けば、家事を省力化し、その時間を他に充てることは余暇を充実させる上でも、更には経済的に豊かになる上でも大切なことです。
年収から自分の時給を考える
そうは言っても、時短家電は高いから……と思われる方もいると思います。しかし、時短家電の投資額とそれで得られる時間の価値を考えると、間違いなく投資する価値はあります。
そもそも皆さんは自分の時給を把握して仕事をしていますでしょうか? 時給で働くアルバイトの方はもちろん把握していると思いますが、正社員で仕事をしていると年収は何となく把握していても自分の時給はあまり把握していない方が多いのではないかと思います。
年間休日を125日、一日の労働時間を8時間で換算すると年収ごとの時給は下のようになります。
●年収1億円の人の時給は5万2083円
年収300万円→時給1563円
年収500万円→時給2604円
年収700万円→時給3646円
年収1000万円→時給5208円
年収3000万円→時給1万5625円
年収1億円→時給5万2083円
※年間休日125日、労働時間8時間/日で換算(税金は考慮しない)
どうでしょう? 意外と高いなと感じられた方が多いのではないでしょうか? タイム・イズ・マネーと昔から言いますが、自分の時給を考えた上で時間を使うことは最近流行のタイムパフォーマンスの観点からもとても重要です。
時短家電の費用対効果
それでは時短家電を使うとどれだけ時間を削減できるでしょうか?
我が家で見た場合、ロボット掃除機で年間20時間、乾燥機付きの洗濯機で90時間、食器洗い乾燥機で60時間の家事の時短に繋がっています。時給2600円(年収500万円)の場合、その経済的な効果はロボット掃除機で年間5万2000円、乾燥機付きの洗濯機で23万4000円、食器洗い乾燥機で15万6000円となります。
また節約した時間を家族との団らんの時間や仕事、または年収を上げるための自己啓発の時間に充てることができるようになります。
●時短家電の費用対効果
ロボット掃除機
時短時間(分)/回 10分
頻度(回)/年 120回
年間時短時間(分)1200分
年間時短時間(時間)20時間
2600円/時給で考えると 5万2000円の効果
食器洗い乾燥機
時短時間(分)/回 10分
頻度(回)/年 360回
年間時短時間(分)3600分
年間時短時間(時間)60時間
2600円/時給で考えると 15万6000円の効果
乾燥機付きの洗濯機
時短時間(分)/回 15分
頻度(回)/年 360回
年間時短時間(分)5400分
年間時短時間(時間)90時間
2600円/時給で考えると 23万4000円の効果
費用対効果で考えると、導入することで経済的にも精神的にも豊かに生活できることは間違いありません。
最新の時短家電は高価なので年収の高いお金持ちが買うものだと考える人もいるかもしれません。しかしお金持ちだから時短家電を購入するのではなく、そのような時間を大切にする思考プロセスを持っている人が、高い年収を得る人なのです。
時間は有限であり、人生において最も大切なものの一つです。その時間の使い方を数字で考え、合理的に判断することが有意義な人生を送ることに繋がります。
(本原稿は、平野薫著『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』を抜粋、編集したものです)