「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。
税務署は何を見ているのか?
節税対策をしていると、怖いのが税務調査ですね。税務調査の調査先は、何らかの指標をもとにあたりをつけ、決算内容に問題がありそうな会社を狙い撃ちしているようです。
税務署としても、「ランダムに選んで調査に入った結果、不自然な点は何ひとつなかった」というのは避けたいのでしょう。
そこで本日は「税務調査で指摘されやすいポイント」についてお話しします
税務署が厳しくチェックする「役員貸付金」
役員貸付金とは、会社が社長(役員)へ貸している状態にあるお金のことです。
「役員が会社にお金を借りるなんて、そんなことが可能なのか!?」と思われるかもしれませんが、可能なのです。
たとえば中小企業のオーナー経営者が、プライベートで家や車といった大きな買い物をするために、一時的に役員貸付金を活用した、という話はよく聞きます。
ただ、役員貸付金は脱税の温床となりやすいため、税務調査で指摘されやすくなります。
税務調査の結果、役員貸付金に対して契約書がなかったり、利息を計上していなかったりしているのが判明した場合は、役員貸付金として処理していた分が「役員報酬」や「賞与」としてみなされ、社長個人への所得税・住民税、会社への法人税・源泉所得税などが課される可能性があります。気をつけてください。
(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)