関心が高まる「ESG(環境・社会・ガバナンス)」や「サステナブル(持続可能な)」を巡る投資は今年、どのような展開をたどるのか。独自に行った定量分析などを基に、24年のESGおよびサステナブル投資の行方を大展望する。(JPモルガン証券ESG&サステイナビリティリサーチ責任者 佐野友彦)
「ESG&サステナブル」投資
24年の行方を大展望
2024年の「ESG(環境・社会・ガバナンス)」および「サステナブル(持続可能な)」投資の行方はどうなるのか。
米調査会社モーニングスターのデータによると、サステナブル投資の運用資産残高(AUM)は22年(前年比14%減)という困難な時期を経て、23年には、世界中のESGファンドのAUMが第1~第3四半期で同6%増の2兆7000億ドルに盛り返した(うち3%は資金流入によるもの)。
昨年10月は株式ファンドと債券ファンドの両方で資金流出が見られたものの、世界の四半期別の資金フローを見ると、欧州地域のけん引により、今のところ前年比プラスで推移している。さらに、サステナブル・ファンドの市場シェア(AUMベース)は、第1四半期に6.3%のピークを付けた後、アジアと米国が先導する形で低下している。
第1~第3四半期の運用成績は芳しくなく、サステナブル・ファンドのパフォーマンスは、ファンド全体の動きを1.5%下回った。これは主に株式ファンドの影響によるものであり、サステナブル株式ファンドは主要地域(米国、欧州、アジア太平洋地域〈APAC〉)すべてで全体より振るわなかった。
しかし、われわれが定量分析を行ったところ、24年はサステナブル投資全般にとって、極めて有利な環境になる可能性がある。というのも、一連の戦略のディフェンシブな特性は、今後数カ月間に顕在化すると考えられる厳しい環境を乗り切る上で、十分な能力を備えているからである。
以降では、JPモルガンが独自に行った分析などを基に、24年のESGおよびサステナブル投資の行方を大展望する。