北東アジアの今冬は例年より暖かく、中国経済は冷え込みが増している。その結果、液化天然ガス(LNG)価格は急落しており、おそらく低調なままだろう。2022年には海運と天然ガスパイプラインの混乱が欧州のエネルギー危機を招いたが、24年は在庫が潤沢な上、アジアの需要が低調で推移するとみられることから、危機が再来することはなさそうだ。これは、紅海で緊張が高まり、海運が世界的に停滞していることを考慮した上での見通しだ。22日にはイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対し、米英軍が新たな攻撃を行った。この地域の主要なLNG産出国であるカタールは、紅海を迂回(うかい)することを決めた。情報会社リフィニティブによると、アジアのLNG価格は100万BTU(英国熱量単位)当たり9.41ドルと、ここ2カ月で40%余り下落。1年で半値以下になった。フーシ派の攻撃が始まった昨年10月には欧州で価格が一時跳ね上がったものの、足元では昨年夏とほぼ同じ9ドル前後まで押し戻されている。
フーシ派攻撃、天然ガスの脅威にならず
海運に脅威でもサプライチェーンの混乱やエネルギー危機再来はおそらくない
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