米国の多くの有権者がドナルド・トランプ前大統領に2期目を与えようとしている理由は単純だ。ジョー・バイデン現大統領よりうまく経済を運営したと思われているからだ。だが、トランプ氏が2期目に打ち出すとみられる経済政策は、1期目とはかなり違ったものになるだろう。当時も今も、同氏が経済に関して固く信じているのは保護主義だ。ただ1期目では、共和党が議会を力ずくで通過させた大型税制改革がこれを見えにくくしていた。2期目はそのような税制案は控えていない。代わりにトランプ氏は、6年前にさまざまな貿易相手国に追加関税を課して引き起こした貿易戦争を拡大したがっている。報復措置やコスト上昇、サプライチェーン(供給網)の混乱などを踏まえると、状況は新型コロナウイルス流行が始まった2020年以前より順調とはいかないだろう。