銀行口座が突然凍結!? 2025年開始、相続で必ず知るべき新ルール
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

銀行口座が突然凍結!? 2025年開始、相続で必ず知るべき新ルールPhoto: Adobe Stock

2025年開始、相続で必ず知るべき新ルール

 本日は「相続と銀行口座」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

 相続が発生したあと、故人がどの銀行に預金を残していたのかがわからず、手続が止まってしまうケースは少なくありません。通帳やキャッシュカードが見つからない場合、すべての金融機関に個別で問い合わせるのは非常に大変です。

 そんなときに活用したいのが「相続時預貯金口座照会制度」です。この制度は、2025年4月から全国で運用が開始されており、被相続人(故人)のマイナンバーに紐づけられた預貯金口座を、預金保険機構を通じて一括で照会できるというものです。

マイナンバー未登録の口座は照会できない!

 制度のしくみとしては、相続人が任意の金融機関の窓口で申請を行い、必要書類を添えて照会を依頼します。申請を受けた金融機関は、預金保険機構に対して照会をかけ、機構が全国の金融機関に一括で確認を行います。その後、相続人に対して結果が郵送で通知されるという流れです。照会の対象となるのは、故人のマイナンバーが金融機関に登録(付番)されていた口座に限られます。

 逆に言えば、マイナンバー未登録の口座は照会対象外となるため、すべての口座を完全に把握できる制度ではない点には留意が必要です。

どれくらい時間がかかる?

 結果が届くまでの期間は、おおむね1か月程度とされています。申請には、故人の死亡が確認できる戸籍謄本や、相続人であることを証明する書類(戸籍や法定相続情報一覧図)、申請者の本人確認書類などが必要になります。また、照会の手数料は故人1人あたり5060円(税込)で、複数の金融機関に口座が見つかった場合でも追加料金はかかりません。

 つまり、1人の照会が「1件」としてカウントされるため、手数料は照会対象者の人数分だけ発生します。この制度でわかるのは「口座の有無」や「所在(どの金融機関にあるか)」までで、残高や取引履歴までは確認できません。相続税申告などで残高や取引内容が必要な場合には、別途、各金融機関から残高証明書などを取り寄せる必要があります。

注意! 銀行口座が凍結されることも!

 また、申請時に故人が亡くなったことを届け出ることになるため、その情報が金融機関側に伝わると、口座が凍結される可能性がある点にも注意が必要です。さらに、制度の利用は相続開始から10年以内に限られており、それを過ぎると利用できません。制度の詳細や手続に不安がある場合は、金融機関の窓口や預金保険機構、あるいは税理士などの専門家に相談すると安心です。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)