一体どれほど寒かったのか。米中西部が異常な寒波に襲われた1月半ば、イリノイ州シカゴ地区にある米電気自動車(EV)大手テスラの急速充電ステーション「スーパーチャージャー」の一部が正常に作動しなくなり、車に乗ったまま何時間も身動きが取れなくなった人たちがいた。もしその場面を見て、仮にも分別のある人間が電気自動車(EV)をほしくなったりするだろうか、とあなたが思ったならば、筆者はこう伝えたい。物事は常にそう簡単にいくとは限らない、と。つまり、シカゴのあの光景はまるで「ダンテの神曲」から抜け出したようだった。EVに搭載される電池は寒さに弱く、航続距離に影響するようだ、と懐疑論者が声高に主張するのももっともだ。多くのEVが米環境保護局(EPA)の推定航続距離を下回っているのも事実だ。電池の発火やソフトウエアの不具合、ディーラーに積み上がるEVの売れ残り、老舗自動車メーカーが多額の赤字を出していることも全部本当だ。
EVめぐる固定観念、とらわれ過ぎかも
凍り付いたテスラ車、ディーラーに山積みの売れ残り在庫、生産トラブル――それでもEVは徐々に売れ行きを伸ばしている
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