パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
スタートアップに
1兆円の予算
僕はスタートアップが日本に残された大きな希望だと信じています。
同様の認識を日本政府も持っているので、これからさらなる追い風が吹く可能性が高いです。
岸田文雄内閣は、2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、スタートアップ担当大臣を新設するとともに、過去最大規模となる1兆円の予算措置を閣議決定しました。
「新しい資本主義」
そして、同年11月24日に、スタートアップ育成強化の方針となる「5か年計画」を発表し、さまざまなとり組みを明らかにしています。
この計画に「基本的な考え方」として示されている内容を読むと、これからの政府のとり組みに対する期待が高まります。
「スタートアップ育成5か年計画 1・基本的考え方より抜粋」
●我が国を代表する電機メーカーや自動車メーカーも、戦後直後に、20代、30代の若者が創業したスタートアップとして、その歴史をスタートさせ、その後、日本経済をけん引するグローバル企業となった。
●しかし、2022年現在、多様な挑戦者は生まれてきているものの、開業率やユニコーン(時価総額1000億円超の未上場企業)の数は、米国や欧州に比べ、低い水準で推移している。
●他方で、旧来技術を用いる既存の大企業でも、スタートアップをM&Aしたり、コラボレーションをしたりして新技術を導入するオープンイノベーションを行った場合、持続的に成長可能となることが分かってきた。
●以上を背景として、本年をスタートアップ創出元年とし、戦後の創業期に次ぐ、第二の創業ブームを実現する。そのために、スタートアップの起業加速と、既存大企業によるオープンイノベーションの推進を通じて、日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出する。
日本の経済成長の種
これは日本のスタートアップにとって大きな追い風です。今の日本の豊かさは、かつての経済成長の遺産によるものともいえるでしょう。
戦後に多くの人が起業し、政府が支援し、産業創造により経済が成長し、勝ち残った企業が、今の日本で大企業となっています。
今後の日本の経済成長の種も、起業やスタートアップにあります。内需を増やし、稼げる企業を増やしていくことが重要なのです。
「日本にスタートアップ10万社誕生」
を目指す政府
スタートアップ育成5か年計画には、「スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築」「スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化」「オープンイノベーションの推進」という3つの柱があります。
これら3つのテーマについて、政府はさまざまなとり組みを実施したうえで、スタートアップの育成を図る予定です。
その結果として、政府は2027年度にスタートアップへの投資額を現在の10倍を超える10兆円規模にするとともに、日本からユニコーンを100社、スタートアップを10万社創出することにより、日本が世界有数の“スタートアップ集積地”になることを目指しています。
これが実現すれば、日本経済に及ぼすインパクトは計り知れません。僕もスタートアップのプレイヤーとして、目標達成の一助になれればと願っています。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。