テレビ局のホールディングス化の影響
しかし、テレビ局が持株会社(ホールディングス)化しそこに配信化の波が拍車をかけ、いまのテレビ局が目指すのは一にも利益、二にも利益である。「マネタイズ」「前年比、何パーセント増」とケツを叩き続けられる。
そんな社内の雰囲気と状況の変化をもっとも敏感に感じているのが、制作現場にいるクリエイターたちなのである。
視聴率を獲っても誉められない、かといっていい番組を作ったつもりでも誰もそこを見てくれないとなるとどんな番組を作ればいいのかがわからなくなり、現場はどんどん疲弊してゆく。
そんな悪循環が現在、テレビ局において散見される。
「マネタイズ」という、あくなき行軍
そもそも地上波テレビと配信の視聴者の嗜好性は同じではない。
地上波には、ある程度落ち着いた環境で作品を楽しみたいという視聴者が多いだろう。だからどうしても高齢者や在宅者が多くなる。
その反面、配信にはテレビでは表現できない刺激的なものやある意味で振り切った作品を隙間の時間で見たいという人が多い。特にスマホユーザーにとっては、配信の映像コンテンツは移動時間や何かをする合間に見るものだ。自然と若者や働いている人が多くなる。
仕事が終わって帰宅して見るにしても、好きな時間に楽しめる。
このように、地上波と配信とでは訴求対象がまったく違うのである。
その両方に“ウケる”作品を作らなければならないのだから、一筋縄ではいかないのは当たり前だ。
視聴デバイスによるコンテンツの「すみわけ」の重要性は、政府と総務省の方針でBSチャンネルを開設しなければならなくなったときに身にしみて痛感したはずだ。なのに、テレビはまた同じ失敗を繰り返そうとしている。