FRBのパウエル議長は、1月のFOMCで3月利下げに対して否定的な姿勢を示した。しかし、声明文からは利上げの文字を削除した。利下げの開始は5月または6月となりそうだ。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
1月会合で利下げに向け
大きくかじを切ったFRB
「物価が持続的に2%に低下するという自信が持てる証拠がもっと必要だ」と、4会合連続で政策金利であるFF(フェデラルファンド)レート(現在5.25~5%)の据え置きを決めた1月31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は利下げについてそう発言した。
加えて、「3月会合までに確信できるレベルになる可能性は低い」と述べ、3月会合での利下げに否定的な見解を示した。
2023年12月のFOMCでのドットチャート(FOMC参加者のFFレート予想を示したもの)では、24年内に3回の利下げ(1回0.25%)が予想されていた。一方、1月のFOMC前の時点で市場は24年内に5回前後の利下げを予想し、3月会合での利下げも5割弱の確率で織り込んでいた。パウエル議長はそうした早期の利下げ期待をけん制した形だ。
市場の期待との対比では、FRBは利下げに後ろ向きに見えるが、実は1月会合で利下げに向け大きくかじを切った。23年12月のFOMC後の声明文では、追加利上げに関する文面が入っていたが、1月の声明文では削除された。これは追加利上げの必要性はなくなり、利下げのタイミングを計る段階に入ったことを示唆している。
では、利下げはいつ開始されるのだろうか。