考えるビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

昨年はジャニーズ事務所やビッグモーターの問題が世間を騒がせた。毎年のように起こる企業の不祥事。もし自分が勤める会社が不祥事を起こしたら、今後のキャリアはどうなるのか。「リクルート事件」渦中のリクルートで働いていた筆者の経験を踏まえて、生き残り術を考えてみたい。(人材研究所代表 曽和利光)

毎年発覚する企業不祥事
もし自社で起こったら…?

 昨年はジャニーズ事務所やビッグモーターの問題など、著名な企業の不祥事が大きく報じられました。ただ、企業の不祥事が明るみに出るのは、昨年に限ったことではありません。

 もしも自分の所属する会社が世間を騒がせるような不祥事を起こしてしまったら、その中で働いている人はどう考え、行動すればいいのでしょうか?

 自分のキャリアに悪影響はあるのか、どういう行動をとればその後もキャリアへのダメージが少なくて済むのかなど、押さえておくべきポイントを考えてみたいと思います。ちなみに私も近い経験をしていますので、まずはその話からさせてください。

 私が新卒で入ったリクルートは、当時まだリクルート事件(若い方はご存じないかもしれませんが、当時の内閣が倒れるくらいの戦後最大の疑獄事件です)の裁判中であり、毎日のように報道がなされているような会社でした。さらに言えば、ダイエーの傘下にあり(今は独立し、その後上場しました)、借入金も1兆4000億円もあり、散々な状態でした。

 採用担当だった私は、いろいろひどい目に遭いました。例えば採用のための連絡で学生の家に電話をかけると、親御さんが出てきて「リクルートが息子になんの用だ」「うちの子に手を出すな!」などと言われてガチャ切りされるような日々でした。内定を出してもほぼ親の反対に遭います。事件が起こった年などは、内定受諾者の半分以上が辞退したそうです。

 そんな当時、リクルートに在籍していた人たちはどうしたのでしょうか。彼ら彼女らにはどのような選択肢があったのでしょうか。