高い賃上げ率実現で“労使協調”だが
マクロの賃上げ率とは乖離
2024年春闘が始動した。今年の焦点は、伸び率が3.6%(厚生労働省発表ベース)と30年ぶりの高さとなった昨年をさらに上回る賃上げ率が実現し、「物価に負けない賃上げ」、つまりマクロの賃上げ率でもプラスの実質賃金が達成されるかにある。
1月24日に開かれた「労使フォーラム」では、連合の芳野友子会長が、「5%以上を目安」とする統一要求を設定し昨年を超える高い賃上げを求めたのに対して、経団連の十倉雅和会長も「物価動向を重視し、ベースアップを念頭に置きながら、できる限りの賃金引き上げの検討、実施を」とビデオメッセージで呼びかけた。
経団連側は、春闘指針となる「経営労働政策特別委員会報告」でも賃上げは企業の社会的責務として、連合の賃上げ目標を「労使での検討・議論に資する」と評価するなど、今春闘は労使が”協調”で賃上げを目指す展開だ。
一方で昨春闘の高い賃上げ率の背景になった主要先進国では最低グループになった日本の賃金水準の低下や人手不足の深刻化などの構造要因は変わっていない。
こうしたことから24年の賃上げ率は昨年を上回り、3%後半から4%近くとなると予想されるが、実質賃金がプラスになるのかは微妙なところだ。
高い賃上げ率になればなるほど、春闘賃上げ率にどのような意味があるのか、そして春闘の成果をどのように波及させていくのかを改めて考える必要がある。