日本労働組合総連合会(連合)による
ベースアップ率の要求方針
日本は既にデフレを脱却し、インフレの世界に突入しつつある。しかし、過去30年もの長きにわたって待ち焦がれてきたはずのインフレの到来は、必ずしも歓迎されているとはいえない。
それも無理からぬ話だ。というのも、インフレは実質所得を毀損し、とりわけ家計部門に打撃を与えるからである。これが実質消費を抑制し、日本経済の重しとなることは自明だ。
もちろん、物価上昇率を上回る賃上げが実現すれば、この問題は解消される。すなわち、真の問題は鈍い賃金上昇率にある。
賃金をさらに詳しく要因分解してみよう。賃金とは、労働生産性と労働分配率の掛け算で規定される。このうち、生産性は向上している。従って、問題の本質は労働分配率の低下に求められる。