日本労働組合総連合会(連合)による
ベースアップ率の要求方針

連合の弱気な賃上げ姿勢が日本経済好循環の壁に、組合は賃金交渉を活性化せよ日本労働組合総連合会(連合)によるベースアップ率の要求方針 「2024春季生活闘争基本構想」で設定された目標

 日本は既にデフレを脱却し、インフレの世界に突入しつつある。しかし、過去30年もの長きにわたって待ち焦がれてきたはずのインフレの到来は、必ずしも歓迎されているとはいえない。

 それも無理からぬ話だ。というのも、インフレは実質所得を毀損し、とりわけ家計部門に打撃を与えるからである。これが実質消費を抑制し、日本経済の重しとなることは自明だ。

 もちろん、物価上昇率を上回る賃上げが実現すれば、この問題は解消される。すなわち、真の問題は鈍い賃金上昇率にある。

 賃金をさらに詳しく要因分解してみよう。賃金とは、労働生産性と労働分配率の掛け算で規定される。このうち、生産性は向上している。従って、問題の本質は労働分配率の低下に求められる。