「中国人の爆買い復活」が期待ハズレに終わった理由…深刻ダメージで泣いた空港は?【ランキング】中国→日本の航空便の回復度はわずか○○%…深刻ダメージで泣いた空港は?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2024年の春節では中国人観光客の復活が期待されているが、かつての勢いには遠く及ばないだろう。中国人インバウンドの回復が遅れている謎に迫りつつ、中国便の低迷が日本の空港に与えるインパクトを三つのデータを使って検証する。(空港アナリスト 齊藤成人) 

中国人が日本に来なくなっている!なぜ?

 2月10日の春節(旧正月)連休で、中国では旅行や帰省による大移動が始まった。中国政府はこの時期(1月26日から3月5日までの40日間)に90億人が移動すると予想している。コロナ禍前の同時期を上回る人数だが、その8割は自家用車による移動とのこと。中国では不動産バブルが崩壊し、景気の先行きが不安視されていることもあり、節約志向が透けて見える。

 英リサーチ会社オックスフォードエコノミクスの見立てでは、2024年の中国発の海外旅行者数は、19年比で8割ほどにとどまるという(※1)。中国人による海外旅行の回復の遅れは、世界の観光市場に大きな影響を及ぼす。何しろ2019年は1億5463万人もの中国人が出境しており、世界全体の観光支出額の2割を中国人マネーが占めていた(国連世界観光機関=UNWTO調べ)。

 とりわけ日本のインバウンド市場はコロナ禍前、中国人による“爆買い”に依存していた。19年の訪日外国人数は3188万人だったが、そのうち中国からが959万人と最多だった。しかし、23年は243万人(速報値)と、コロナ禍が収束したにもかかわらず、4分の1程度にしか回復していない(表1)。24年の春節では中国人観光客の復活が期待されているが、かつての勢いには遠く及ばないだろう。

 中国人の渡航先として日本は、香港、タイ、マカオに続いて第4位だった(19年、出境者数)。それが22年には韓国やマレーシアに抜かれ、今なお、中国人の渡航先として日本は、他の国・地域に比べると回復が遅れているといわれている。いったい、なぜだろうか?

 次のページでは、中国人インバウンドの回復が遅れている謎に迫りつつ、中国便の低迷が日本の空港に与えるインパクトを三つのデータを使って検証する。地方空港の「中国便依存度」がどのような影響を及ぼしているだろうか。