テレビ・ネットで「日本のウォーレン・バフェット」と話題! 1936年(昭和11年)、兵庫県の貧しい農家に4人兄弟の末っ子として生まれた。高校を出してもらってから、ペットショップに就職。そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになった。そして19歳のとき、4つの銘柄を買ったことが株式投資の始まりだった。あれから68年、バブル崩壊では10億円あった資産が2億円にまで減った。しかし今、資産は18億円まで増え、月6億円を売買しながら、デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた話題の書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。
ADRやニュースを
見てから銘柄チェック
ある日の私の取引履歴を時系列で追ってみることにしましょう。
この日の取引を見ると、朝の5時台から注文を出していることがわかると思います。市場が開くのは午前9時ですが、注文自体は24時間可能です。
まず朝起きてニュースやADR(米預託証券)を確認し、よさそうな銘柄についてチャートで確認します。
チャートを見たうえで「買い」または「売り」だと判断すれば、そこで注文を出すというわけです。
適正価格を
自分なりに判断
前場と後場の間にも、日経225先物の数字は動いているので、昼休み中もその動きを確認。絶えず材料となる情報をチェックして、そこから自分の頭で考えることを重視しています。
これぞ究極の認知症防止、“脳トレ”かもしれません。ニュースで好材料が出たからといって、私が考える適正価格以上に株価が上がってしまったものは買いません。
それは「買われすぎ」であって、大きく下落する可能性が高いからです。株というのは、買ったときの値段からどう動くかによって、損益が生じるものです。
その銘柄の適正価格を自分なりに判断することが肝になります。
一番の勝負は午前9時台
ぜひ注文した時刻に注目してみてください。注文・約定は午前9時台に集中しています。午前10時をすぎれば、一日の半分は終わったようなものです。
この日は次いで午前10時台が多かったですね。続いて取引が集中する時間が、後場の寄り付き直後と大引け直前です。
昼休みの間になにか材料が出てくることはそう多くないですが、昼休みに注文を出す会社員などの個人投資家が一定数いることも影響しているとみられます。
そしてまたラスト30分になると、持ち越したい人の買いと持ち越したくない人の買いの動きが活発になります。
チカラの入れ時
そうでない時
とくにデイトレーダーに多い考え方ですが、希望していた価格まで上がらない、または下がらない場合でも、日をまたぐのを防ぐために注文が増える傾向があります。
週末はさらにその傾向が強いです。逆に13時台は、どうしても取引が落ち着く傾向にあります。この日も1回しか注文していません。
デイトレーダーなら、ずっと取引画面を見ている必要はありますが、取引が活発な時間とそうでない時間を理解しておくことで、市場が開いている時間のなかでもより力を入れるべきときと抜いてもいいときがわかるようになります。
決算に期待して購入
この日買った銘柄のうち、「信越化学工業」「ジーテクト」は翌週・翌々週に発表される決算に向けて購入した株です。
このように、決算が近くなってくると「決算で上がるだろう株」が安くなるタイミングを計って、購入することが重要です。
週単位での売買なので、厳密にはデイトレードではありませんが、決算で勝負するにはあらかじめの仕込みが欠かせません。
大手化学メーカーの信越化学工業は、時価総額が約9兆1600億円(トレード時点)という大型株で、私が得意とする小型株ではありませんが、塩化ビニル樹脂やシリコンウエハーなどで世界的に高いシェアを有しており、投資家からの人気がとても高い銘柄です。
1000億円の
自社株買い
同社の株は2023年6月に入り上場来高値を更新。
第1四半期の決算は減益予想でしたが、2023年3月期の連結決算では純利益が過去最高であり、中長期的には業績の拡大が期待できることから、仮に前年同期比マイナスだったとしても、すでに市場はそれを織り込み済みで、決算で上がるはずだと考えました。
決算自体は市場の予想どおり減益。しかし、同時に1000億円もの自社株買いを発表しました。自社株買いは株価上昇の好材料となります。
ただ、決算翌日に折悪く日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を表明したことも相まって、この日は全体的に株価が下がる傾向にあり、期待どおりの上げ幅にはなりませんでした。
2030年にかけて伸びる
と見ている銘柄
ジーテクトも同様に、決算で高くなることを見越して購入した株です。
ホンダ系の車体プレスメーカーであるジーテクトは2023年6月、今後の事業戦略にかかる新たな経営指標の目標値や株主還元方針などを公表しました。
そこでは新たに株主資本に対する配当総額の割合である株主資本配当率(DOE)を指標として導入し、数値目標として2023年3月期は1.6%、2026年3月期に2.0%、2031年3月期に3.0%を目指す方針を明らかにしました。
これを受けて、同社の株は年初来高値を更新。この株を持っていれば、今後2030年にかけて伸びていくはずです。私は94歳になる2030年まで売買しながら、この株を持っているつもりです。
いつか必ず上がる株
この2社とも、仮に次回の決算で上がらなくても、「いつか必ず上がる株」だということも重要です。だからこそ自信を持って買えるんです。
「決算で上がるかもしれない。だけど今後の見通しは暗い」ような株に手を出すべきじゃありません。
※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。