中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景Photo: Zhang Peng/gettyimages

 中国では少子化が大方の予想を上回る速さで進行し、人口学的崩壊への懸念が高まっている。しかも、その影響への対処は今や、40年余り前の計算ミスによって複雑になる可能性がある。

 中国の「一人っ子政策」の立案者らは、現在進行中のこうした急速な変化を予想していなかった。史上最大級の社会実験であるこの政策は1980年ごろに導入された。当時、世界各国の政府は人口過剰が経済成長の妨げになることを懸念していた。モスクワで学んだあるミサイル科学者が、ロケットの軌道計算に使われる数理モデルを人口の伸びに応用した計算表に基づいて、中国の政策を推し進めた。