「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。
できる社長の「会社防衛策」とは?
本日は貸倒引当金の活用法についてお話しします。
貸倒引当金とは、取引先が倒産などで支払い能力がなくなったときの損失額を予測し、計上しておくお金のことです。
青色申告をしている個人事業主は、年末に残っている売掛金や貸付金などの売掛債権・金銭債権に対し、5・5%(金融業の場合は3・3%)の額を、貸倒引当金繰入として必要経費に計上することができます。
貸倒引当金として計上できる債権には、売掛金、受取手形、貸付金、未収金などがあります。取引先の倒産や代金の不渡りはいつ発生するかわかりませんから、それに備えてお金を残しておけるのは心強いでしょう。
ただし注意点がひとつあります。
貸倒引当金繰入として必要経費に計上したものの、貸倒れがなかった場合には、翌年に「貸倒引当金戻入」として収入に計上してリセットする必要があるのです。
ちなみに、とくに大きな利益が出た場合や、毎年右肩上がりで売上が伸び続けている場合は、貸倒引当金を計上することによって節税効果が期待できます。
また、会計事務所に申告や記帳をお願いしている事業者の方も多いと思いますが、会計事務所側にとって、この貸倒引当金の計上は必ず計上しないといけないものではないため、計上されていないことが多いです。気になる方は申告書や決算書をチェックしてみてください。
(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)