ロシアがウクライナ侵攻を開始してから2年、パレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃してから約4カ月が経過した。こうした戦争の火種は最近、ロシア国内の製油所や紅海を航行するタンカーにまで及んでいる。またイスラエルとレバノンの衝突は、再び本格的な戦争に発展する恐れがある。だがこうした紛争の影響で焦点の一つとなる石油価格は、ロシアの侵攻直前の水準を約12%下回っている。市場は地政学的混乱に対して「かなり面の皮が厚く」なった。エネルギーコンサルティング会社ラピダン・エナジー・グループの創業者で社長のボブ・マクナリー氏はこう指摘する。そうなったのは当然かもしれない。石油に対するここ40年間の地政学的脅威はほぼ全て、見かけに比べて実際の影響がはるかに小さかったからだ。