60歳を超えると、新NISAを活用するメリットがあるのかないのか――? 2024年からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)を中心に、資産運用のメリットや活用法について、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんと、ロボアドバイザーサービスのウェルスナビ代表取締役CEO柴山和久さんが本音で徹底討論した「新NISA完全活用法」セミナー(23年12月21日開催)より、一部をダイジェストでご紹介します。

ビジネスパーソンPhoto: Adobe Stock

――60歳を過ぎてから新NISAを活用するメリットはあまりないでしょうか、というご質問を沢山いただいています。この点については、いかがでしょうか?

柴山和久さん(以下、柴山) NISAを活用するメリットは、正直乏しいと思います。65~70歳は3人に1人が働いていますから、収入が安定的にあって10年間は投資できると思えば、株と債券でバランスよく運用することもありでしょう。ただし、10年投資を続けられないリスクがあるなら、無理に投資しないようお薦めします。日本国債などに投資する割と安定的な商品をNISAで買えないこともないのですが、利回りも低くメリットも大きくないので、焦って投資する必要はないのではないかなと思います。

深田晶恵さん とはいえ、投資をしたいという人は止められないものですよ。どうしても投資を始めたい人は積み立てで投資するといいと思います。60歳以上の方は結構お金をもっていらっしゃるので、そのうちの全部を投資に回すのではなく、一部を投資に回すことで老後資金の寿命を延ばしていく、という考え方です。特に女性は寿命も長いので、投資できる余裕があるなら始めてみるのも選択肢でしょう。でも、先ほどもお伝えした「投資でやってはいけない3つのポイント」はぜひ押さえてもらいたいです。

・金融機関に勧められたものを買ってはいけない。自分で選ぶこと。
・手数料の高いものは避ける
・まとまったお金を投じてはいけない。まずは積立か少額で購入すること。

柴山 詐欺に引っ掛からない目安は知っておきたいですね。たとえば先ほどお見せした長期投資のシミュレーションでは、年率リターンが6.5%でしたよね。参考までに、リーマンショック時は40%ぐらい下がりました。つまり、リスクとリターンはコインの表裏なので、資産が30~40%減るリスクをとらないと年率6~7%というリターンは出せません

60歳を超えて投資をされる場合、元本を保証される商品を探す方も多いかもしれませんが、元本保証で、かつリターンが6~7%以上という商品は、理論的には存在しません。現実にあれば、それは「詐欺」の可能性が極めて高い。わかりづらく、どこかに小さく「元本がこういう風に減るリスクがあります」などと、注記が書いてあるはずです。資産が減るのが怖いとき、元本保証型を探すのはよいとして、リターンが1%でさえも2年だと難しい、というセオリーを頭の片隅に入れておいていただければと思います。