信越化学と日本ペイント、決算の明暗分かれた背景に「中国」の差…過去最高を更新したのは?Photo:PIXTA

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

信越化学工業は2桁減収
明暗分かれた化学メーカー5社

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界5社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(5社いずれも23年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・信越化学工業
 増収率:マイナス16.8%(四半期の売上高6275億円)
・日本ペイントホールディングス
 増収率:8.4%(四半期の売上収益3567億円)
・旭化成
 増収率:4.2%(四半期の売上高7182億円)
・三菱ケミカルグループ
 増収率:マイナス3.6%(四半期の売上収益1兆952億円)
・東レ
 増収率:マイナス1.6%(四半期の売上収益6300億円)

 化学業界の主要5社では、信越化学工業、三菱ケミカルグループ、東レが前年同期比で減収となった。一方で、日本ペイントホールディングス、旭化成は増収だった。

 信越化学工業は5社で唯一、2桁減収となっている。

 増収率で明暗が分かれた要因は何だったのか。次ページ以降では、各社の増収率の推移と併せて、この差の要因を解説する。