仕事ができるかどうかは、会食・食事会の「仕切り力」でわかる――。
面倒な雑務の代名詞「幹事」「食事会設定」は、社会人として逃れられない悩みの一つだ。「たかが会食」と捉えて適当にこなすと、クライアント・上司からの評価が大きく下がりかねない。
しかしこの一見、何の役にも立たなさそうな“貧乏くじ”に、実は「千載一遇のチャンス」が隠されていることを、見逃してはいないだろうか?
新刊『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』では、“広告代理店卒・アルコールに弱い(1,2杯が限界)・非体育会系の著者”が、最大28会食/月を乗り越えて身につけた「実務に即したメソッド」を紹介している。
会食・社内飲み会・送別会・歓迎会など、古今東西すべての食事会で今日から使える本書。
今回は、「会食で失敗した部下に上司が伝えた言葉」を紹介しよう――。

【大惨事】「ゲストが大激怒した会食」が終わった後、神上司が部下に伝えた一言とは?Photo: Adobe Stock

失敗にも「意外と優しい」上司

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クライアントとの会食。当日が誕生日であるゲストのために、良かれと思って二次会のカラオケをデコレーションしたところ、「なんだこのチンケな装飾は!」とゲストを逆に怒らせてしまい、場を台無しにしてしまった。

二次会を終えた後、久保田さんから叱責を受けると覚悟していたが、意外にも久保田さんは優しかった。

「お前なりに吉田部長を喜ばそうと思って頑張ったんだろ。だったら別に問題ない」
そして久保田さんは、こう続けた。

「想像力と確固たる意志」が核になる

このときの久保田さんの言葉が、今の私の核になっている。

「でも、こういうときは相手のことを事前にリサーチして、相手の情報と会食の目的・背景は把握するべきだな。相手が何に興味を持っていそうか、今どんなライフステージを歩んでいるのか、そもそも俺がなぜ吉田部長と会食をしているのか、とかな。」「何より、相手に高い興味・関心を持って、どうすれば喜ぶか『想像力』を使ってほしい」
「あとは事前に上司、今回でいえば俺に、会食に向けて何をするのか予め確認して合意をとってほしい。たとえば紙一枚にまとめて承認を取るとその後のアクションが明確化するぞ。今回そうしてくれていたら俺がリカバリーできたな」
「最後に、持つべきは自分の中での『確固たる意志』だ。会食はつい、流され仕事でこなしてしまいそうになるけど、それではダメだ。次は自分なりに目的意識を持って、どう会食をデザインするのか考えてみてくれ」

久保田さんは、ここまで考え抜いていたのか。
「想像力」、そして「確固たる意志」。会食の核心に触れた気がした。

この久保田さんのエッセンスを体得してから、私は徐々に会食に前向きになり、自分なりの工夫を考え始めるようになった。

(本記事は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の一部を抜粋・編集・加筆したものです)