「SNS疲れ」から抜け出す方法を教えましょう。
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「距離をとる」しかない?
SNSは便利なツールですが、うまく使わないとメンタルが振り回されてしまいます。
どんな人でも距離感が近すぎると不快になったり、精神的な疲労を感じるものです。
それと同じで、SNSでのコミュニケーションはまだ人類が使いはじめて日が浅いぶん、マナーや距離感がうまくいかず、知らず知らずのうちに他人を傷つけたり、傷つけられることがあります。
そんな傷ついたあなたの精神状態を改善させるためには、できればSNSの使用を控えて距離を取ることしかありません。
現実のコミュニケーションでも他人に傷つけられたら距離を取りますよね。
SNSというツール上でも他人とは適切な距離感を保つ必要があると考えてください。
それでも気持ちがなかなか切り替えられないときには、現実の上でのコミュニケーションを充実させるように、アクティビティやリラクゼーション法を取り入れたり、他の人と話してあなたを肯定してもらったり、感情を共有することで、よりSNSから受けるネガティブな影響力も軽減することができるでしょう。
「情報収集」と割り切る
そうはいっても、スマホを捨てるわけにはいきません。
その場合、SNSというのは、いろいろな価値観や知識に触れて視野を広げるツールだと捉えましょう。
1つの媒体から情報を摂取すると、いくらでも偏った思考になってしまい、オンラインや電話で騙される人も増えています。
大切なのは、情報を自分で選び、自分で考え、取捨選択をして納得した上で受け入れていくことです。
近年はネットやSNSの発達によって現実世界で関係性を絶っても、さまざまな情報が飛び込んで来るような社会です。
どれほどあなたにとって有益だと思う情報が入ってきても、「すぐに飛びつかない」ということに気をつけましょう。
いったん反芻して思案し、あなたが納得した上で受け入れるようにするといいでしょう。
そのためには、さまざまな情報や知識と照らし合わせたり、情報を精査する時間を作り、相談できるようなメンターを作るなど、あなたが情報を取捨選択しやすくなるような環境を作ることで、騙されにくい人になります。
そういうツールとして、SNSを活用しましょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。