「メンヘラな人はどのような考えをしているのでしょうか」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

あなたの身近にいる「メンヘラな人」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

わかっているけど、納得できない

「メンヘラになるとき」というのは、自分のことを正しくとらえることができず、生きにくさを感じているときです。
 そして、その状態を解消するには、「気づき」を増やしていき、自分への「受容」というプロセスを始めることが必要です。
「頭んなか、メンヘラになっている!」という気づきをすることがまず大切です。

 しかし、これまでの人生で、

「論理的にはわかるけど、納得できない!」

 というジレンマを感じたことは誰しもあるはずです。

 たとえば、あなたが友人に「お金に困っている」と相談したとしましょう。
 友人から、

「お金をムダ遣いしすぎだから、もう少し出費を抑えたほうがいいよ」

 というアドバイスをもらっても、

「そんな簡単に言われても困る!」

 と、反発する気持ちが生まれます。

 しかし、よく振り返ってみれば、ちょっと高いシャンプーを使っていたり、スマホの使用料が高かったり、買い食いがやめられなかったり、好きなゲームや推しのアイドルへの出費が多かったり……。
 意外と思い当たるフシがあったりします。
 でも、それらはすべて自分にとっては大切なものだから、それらをやめては生きる意味を感じられません。

 そんなふうに、友人の答えのほうが論理的に「正しいかも?」と頭で感じていても、「わかっているけどやりたくない」と感情が拒絶するせいで選択できないのです。

ミゾを抱えて生きている

 そんな「こうすればもっとラクに生きられるのになぁ」と思うような選択は、生活の中でいろいろと出てくると思います。

 感情に流され、選択肢を自ら削ってしまい、モヤモヤとした気分のことを私たちは「腑に落ちない」と表します。

 日頃、生きにくさを感じるときは、「理性的な私」と「感情的な私」の間に、ある種のミゾが生じていて、なんとなくモヤモヤする気持ちを感じながら生きています。
 それがメンヘラな人の特徴なのです。

「他人が『怖い』から接客業につけない」
「あの人が『嫌い』だからやりたくない」
「悪習だけど『好き』だからやめられない」

 そんなミゾを埋めていき、「理性的な私」が「感情的な私」を納得させて、「腑に落ちた理解」をしてもっとラクに生きられるようになる。

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。より一部を抜粋・編集したものです)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。