「感謝されているうちに撤収せよ」自衛隊の被災地支援、意外な鉄則の深いワケPhoto:Anadolu/gettyimages

「3.11」を迎えるに当たって、自衛隊の災害派遣の内情を赤裸々に論じてみたい。先般の能登半島地震では「後手に回っている」と批判を集めたが、自衛隊は本当に「無策」だったのか。被災地支援で自衛官が苦労する「意外なこと」とは――。(安全保障ジャーナリスト、セキュリティコンサルタント 吉永ケンジ)

自衛隊への「期待の裏返し?」
災害派遣への批判も過熱

 2011年3月11日、日本人なら誰しも忘れることができない東日本大震災が起こった。

 内閣府の統計によれば、東日本大震災の後に死者・行方不明者が100人を超えた国内災害は、16年の「熊本地震」や24年の「能登半島地震」など計7件(※)。日本はほぼ「2年に1度」のペースで大規模な災害に見舞われている計算になる。

内閣府の公式サイトを基に筆者調べ。地震以外に大雪・豪雨・台風を含む。

 そんな「災害多発国」の日本で、国民の生命と財産を守るために欠かせない組織となっているのが「陸・海・空」の自衛隊だ。

「感謝されているうちに撤収せよ」自衛隊の被災地支援、意外な鉄則の深いワケ「自衛隊に期待する役割」調査(出典:防衛省の「令和5年版防衛白書」) 拡大画像表示

 自衛隊の災害派遣に対する国民の期待は大きく、22年に行われた「自衛隊に期待する役割」に関する世論調査では「災害派遣」(88.3%)が首位となり、「国の安全確保」(78.3%)や「弾道ミサイル攻撃への対応」(55.7%)を抑える結果となった。

 しかし、そうした期待の裏返しなのか、近年は災害派遣における「自衛隊批判」が過熱しているようにも思える。

 例えば、能登半島地震に対する自衛隊の支援活動について、さまざまな有識者などが思うことを発信していた。ただ、四半世紀以上にわたって防衛省・自衛隊に勤務した筆者の視点では、そうした指摘の中には首を傾げざるを得ないものがあった。

 次ページ以降では、筆者が疑問を覚えた自衛隊批判をはじめ、災害発生時の自衛隊員の動き方、被災地支援で自衛官が苦労する「意外なこと」などをお伝えする。現役自衛官へのインタビューを通じて、赤裸々な「現場の声」もお届けしていく。