2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大成建設、鹿島などの「ゼネコン」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
ゼネコン4社は増収も
利益面は大ピンチ
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゼネコン業界4社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(4社いずれも23年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・大成建設
増収率:5.7%(四半期の売上高4082億円)
・鹿島
増収率:11.9%(四半期の売上高6888億円)
・大林組
増収率:20.0%(四半期の売上高6202億円)
・清水建設
増収率:3.5%(四半期の売上高5116億円)
ゼネコン4社はいずれも増収となった。第3四半期累計の売上高においても、各社は前年同期の実績を上回っている。
ただし第3四半期累計の利益面に目を向けると、清水建設は520億円の営業赤字、209億円の最終赤字に転落。大成建設は営業利益が前年同期比58.2%減、純利益も同39.9%減と大きく落ち込んだ。
また、大林組は営業利益が前年同期比22.1%減、純利益が同16.0%減という結果だった。残る鹿島は営業利益が同9.5%増、純利益が同6.7%減と、営業利益のみプラスで着地した。だが純利益は減益となっており、ゼネコン4社が軒並み利益面で苦しんでいることがうかがえる。
なぜ、各社の利益面は大打撃を受けているのか。
次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、利益面についても詳しく解説する。