再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材#12Photo by Ryo Horiuchi

建設業界で各社の株価を左右するのが「物言う株主(アクティビスト)」の存在だ。キャッシュをため込んだ、割安株だらけの建設銘柄の物色が活発になっている。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#12では、アクティビストが大株主に躍り出た建設会社、そして次に狙われるゼネコン・サブコン5社の実名を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

アクティビストの圧力が
業界再編に結び付く

 目下のところ、ゼネコンにとって喫緊の課題は「2024年問題」だ。2024年問題とは、働き方改革に伴う時間外労働の上限規制が4月から建設業にも適用され、建設業界で人手不足と労務費の高騰が深刻化することである。

 2024年問題に加え、ゼネコンの頭痛の種になっている問題がもう一つある。「物言う株主(アクティビスト)」だ。近年、キャッシュをため込んだ「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」のゼネコンやサブコンをターゲットに、株式を買い増してじわじわと圧力をかけている。

 アクティビストによる圧力が、近年ではゼネコン業界の活発な再編に結び付いている。アクティビストの代表格である旧村上ファンド系の投資ファンド、シティインデックスイレブンスに圧力をかけられた準大手ゼネコンの西松建設は伊藤忠商事と資本業務提携を結び、中堅ゼネコンの大豊建設は麻生グループの傘下に入った。

 ではなぜ、アクティビストが建設業界でこれほどまでに跋扈するようになったのか。その背景には、施主と施工を請け負うゼネコンの関係に大きな変化が表れたことにあった。

 次ページでは、アクティビストが建設業界で跋扈するようになった施主と施工の関係の変化について解き明かす。24年度の株主総会に向けてアクティビストと火花を散らすゼネコン、今後アクティビストに狙われるゼネコン・サブコン5社の実名も明らかにする。