現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。

【医者が教える】「運動不足」と同様に避けるべき「ヤバい習慣」とは?Photo: Adobe Stock

ミトコンドリアを損傷させる「3大NG習慣」

ミトコンドリアは、あなたの習慣に敏感に反応する健康のパートナーだ。

 ミトコンドリアは環境に応じて成長したり、増殖したり、死に絶えたりする。

 ミトコンドリア機能を最も劇的に低下させる主な行動パターンは次の3つだ。

1.運動不足―座りっぱなしはNG

 運動不足座りっぱなしの身体は「これ以上エネルギーは必要ない」という信号をミトコンドリアに送り続けるため、ミトコンドリアはエネルギーの産生を特に筋肉や心臓で減らしてしまう。

 もっと身体を動かし運動することによって、より多くのエネルギーを必要とする生活を送れば、ミトコンドリアはその要求を満たそうとしてエネルギーの産生を増やす。

2.食べすぎ―肥満が炎症を引き起こす

 食べすぎ、特に糖分の多い食品を食べすぎると、細胞がミトコンドリアと血管の内膜を損傷させる排ガスの一種(活性酸素種)を放出する。

 身体が使い切れなかった燃料は脂肪細胞に蓄えられて肥満を引き起こし、肥満は炎症などミトコンドリアを損傷させる状況をさらに増やす。

3.回復なき慢性ストレス―飲酒や食べすぎの連鎖

 ストレスはミトコンドリアのアロスタティック負荷(細胞内の累積的なストレス負荷)を増大させる。

 アロスタティック負荷は、ミトコンドリア機能不全の原因となる飲酒や喫煙、食べすぎといった不適応行動を引き起こす場合が多い。

 ストレスから回復しなければ、ミトコンドリアは修復と充電の機会を得られない。

 ミトコンドリアを損傷させるライフスタイルの深刻な影響を理解している人は少ない。

 ミトコンドリア研究者のダグラス・ウォレス博士によると、利用可能エネルギー不足の基準値である50%を超えてエネルギー容量が低下すると、病変(疾患)が現れる。

(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)