「とんでもございません」は間違った敬語?
本当に感じのいい人は、褒められたとき何と言うのでしょうか。
そう語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「敬語との向き合い方」について紹介しましょう。
正しいかどうか迷うとき
ビジネスシーンでのやり取りの中で、適切な表現を使えているかと不安になることがあると思います。
「とんでもございません」も、その一つです。
若手社員の方たちから、「間違った表現なので使わない方がいいんですよね?」と聞かれることがあります。
「とんでもない」は、「もったいない」等と同様、それだけで一つの形容詞なので、本来は、「とんでもないことでございます。」が正しい表現になります。
ただ、2007年文化庁が発表した「敬語の指針」の中に、こう書かれています。
たしかに、「とんでもないことでございます」だと、耳慣れていないので使いにくいという声を聞きます。
そんな方たちに私からお伝えしているのは、「迷うなら、どちらも使わない」という選択肢です。
私自身が、会社員時代に先輩から教わって、納得した考え方でした。
褒められたとき、どう返す?
褒めや賞賛へ返す言葉は「とんでもない」が、唯一無二ではないですよね。
なにも打ち消さなくても、
「喜んでいただけてよかったです」
「そう言っていただけて何よりです」
などと、言ってもいいのです。
「こちらこそ、ありがとうございます」
と感謝を述べられるのも、相手にとって気持ちよいと思います。
「使ってよいか不安」と思ったときは、「自分なら、何と言われたらうれしいか」で考えてみましょう。
それを言葉にしてみると、あなたの気持ちが、より相手に伝わることでしょう。
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。