第一生命、かんぽ、T&D…生保3Q決算の利益を大幅に増減させた「反動要因」の正体Photo:SANKEI

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は第一生命ホールディングス、かんぽ生命保険、T&Dホールディングスの「生命保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

第一生命・かんぽ生命は減収
T&Dは増収 

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生命保険業界3社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(3社いずれも23年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・第一生命ホールディングス
 増収率:マイナス0.4%(四半期の経常収益2兆2307億円)
・かんぽ生命保険
 増収率:マイナス9.3%(四半期の経常収益1兆4468億円)
・T&Dホールディングス
 増収率:38.2%(四半期の経常収益8623億円)

 生命保険業界3社の四半期決算は、第一生命ホールディングス(HD)とかんぽ生命保険が減収、T&Dホールディングス(HD)が増収と明暗が分かれた。

 第3四半期累計の決算でも同様に、第一生命HDとかんぽ生命保険は減収、T&DHDは増収という結果だった。

 一方、第3四半期累計の利益面に目を向けると、第一生命HDは経常利益・純利益がプラスで着地した。かんぽ生命保険は経常利益が前年同期比59.2%増と大きく伸びたのとは対照的に、最終利益は前年同期比14.5%減と2桁減益に陥った。

 また、T&DHDは前年同期において経常利益・最終利益がいずれも1000億円以上の赤字に沈んだが、今期の第3四半期累計では大幅に利益が改善し、黒字転換を果たした。

 生保大手の3Q決算でこうしたアップダウンが生まれた要因は、前年同期の決算からの「反動増・反動減」にある。次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、業績のアップダウンの要因について詳しく解説する。