期待される若手ではなくなったとき
回答者:ユタ・ジャズ プレーヤーウェルネス担当副社長、ロナルド・キモンズ氏(心理学博士)
多くの職業と同様、NBA選手も自身のキャリアの中で、自身の置かれている状況やかけられている期待は変化します。若さゆえの問題を抱える19歳から引退を控えた30代まで、多くの不安を抱えている選手は少なくないのです。
そして当然のことながら、彼らのアイデンティティーは“NBA選手”というキャリアの中で完結したいと願っています。そこで次の段階への移行を支援するために私たちはよく、「引退とは何かから退くことではなく、何か新たなことに向かうことだ」という話をします。そして、「NBA以外の世界でどんな世界があるのか?」ということについて話し合います。
NBA内にとどまる選手の場合も同様です。もちろん彼らは、コート上で結果を出さなくてはなりません。肉体的なピークは過ぎていると思われる場合には、それをどう実現すればいいのでしょうか。そのアドバイスとしては…。
まずは、チームに貢献できる方法を見つけることです。若手選手のメンターになるという方法もあるでしょう。そうすることによって、「ルーキーから仕事を奪われる」という心境から脱し、より調和的な方向へと心持ちを変えることができるはずです。
例え若い頃のような成績が残せなくなったとしても、「チームの勝利に貢献している」と考えるのです。この考え方は、人によっては受け入れるのが難しいかもしれません。ですが、ありがたいことに新人よりも、ベテラン選手のほうが理解を示してくれやすい傾向にあるのは事実です。