気落ちするときには…

落ち込む女性Photo:Jupiterimages//Getty Images

回答者:ポートランド・トレイルブレイザーズ マインドヘルス&ウェルネスディレクター、シャンテル・グリーン氏(博士)

 もし選手が悲しんでいたり、がっかりしたりしている原因が試合に負けたことなら、それはそれでよいと考えています。大事なのは、自身の気持ちの落としどころとなる「折衷点(happy medium)」を知ること。この折衷点を私は、「ベースライン」と呼んでいます。このラインから沈みすぎず上がりすぎず、大きく逸(そ)れないようにしたほうがよいのです。

 大きな変動を回避するための第一歩は、自分の理想的な状態を観察して、自身のベースラインを評価すること。次は、そのベースラインに回帰するためのツールや戦略を持つことです。友人や家族、チームメイトと過ごす時間や瞑想、深呼吸、自然を楽しむ、音楽を聴く、信仰を実践する、テレビゲームをする、セラピストのセッションを受けるなど、さまざまな例が考えられます。戦略は多ければ多いほどいいのです。どれかを試してみてうまくいかなければ、次を試してみればよいのですから…。

 精神状態がベースラインを下回ると、モチベーションを維持することが難しくなります。ですが、ベースラインを上回る“安心感”へと戻すための対処法があるように、やる気を取り戻すための方法もあるのです。

 それは、「自分のモチベーションはプレーオフに進出することだ」という人もいるでしょう。ですが、それが不可能になったら、考え直す必要があります。例えば、モチベーション維持の要素としては、チームとの契約維持を確実にするため、家族を養うため、子どものため、理想的なロールモデルになるため、なども考えられます。この中の何かは、やる気を起こさせてくれるのではないでしょうか。勝ち負けだけがモチベーションとは限らないのです。