「実家の片付けにおける心の問題として、意外に大きなこと」が今回のテーマです。
「空いた実家をそのまま貸せばいい」とお話しすると、「リフォームが必要なんでしょう?」とか「そもそも大都市近郊だと可能な話で地方では無理なんしょう?」という反応がかえってくることが多いと語るのは、不動産投資家で空き家再生コンサルタントの吉原泰典さん。その質問に対しては「古くても地方でも大丈夫! 貸せます」と多くの方が驚かれるそうです。本連載では、「貸すか売るか自分で使うか」判断の分かれ目はどこなのか? なぜ「そのまま貸す」ことがお勧めなのか? などを解説し、「誰もすまなくなった実家」をそのまま貸すためのノウハウを話題の書『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』の中からご紹介していきます。

【どうする仏壇&墓じまい】「実家の片付け」で悩んでいる人はやってみて!Photo: Adobe Stock

仏壇と位牌の扱いについて

 実家の片付けにおける心の問題として、意外に大きいのが仏壇と位牌の扱いです。遺品や家財とは少し違いますが、やはり右から左へと処分するわけにはいきません。
 私の場合、岡山の実家にあった仏壇はとりあえず倉庫に預けておくとともに、位牌は東京の自宅マンションに持ってきて自分の書斎に置き、毎日線香をあげています。
 これらを移す際は岡山の実家の菩提寺の住職に相談して、アドバイスをもらいました。

僧侶に来てもらって行われる「魂抜き(閉眼供養)」や「魂入れ(開眼供養)」

 仏壇や位牌は先祖の霊の依り代であったり崇拝や供養の対象です。それらを移したり、処分したり、新しく調達する際にそれなりの扱いをするのは当然のことで、具体的には僧侶に来てもらっていわゆる「魂抜き(閉眼供養)」「魂入れ(開眼供養)」を行うのがよいとされます。
 私としては将来、普段生活している東京のマンションに小さな仏壇を購入し、そこに入るように位牌も一回り小さいサイズにするつもりです。その際にはまた僧侶を招いて「魂入れ」を行う予定です。

お墓はどうする?

 仏壇と位牌とともに、地方の実家ではお墓の扱いも気になるところです。自分の代まではそのまま置いておくのでもいいのですが、子どもの代になったとき果たしてそのまま維持できるかどうかは気になるところです。

 仏壇と位牌を移す際、合わせてお墓の移転を考えるのも自然なことでしょう。こうしたお墓の移転のことを最近は「墓じまい」と呼んだりします。

 具体的には、元のお墓にあった先祖の遺骨を新たなお墓に移し、元のお墓は撤去します。

 そして、お墓が立っていた土地は墓地を経営するお寺や団体に返却します。子どもがいない人の場合は、先祖の遺骨を永代供養がセットになった樹木葬や合祀墓に移してしまうケースもあります。

「改葬」の手続きはこうして行う

 元のお墓から先祖の遺骨を取り出す際や新しいお墓に遺骨を入れる際などには、先ほどと同じように僧侶に来てもらって「魂抜き」や「魂入れ」を行います。

 また、注意したいのは「墓じまい」は法的には「改葬」と呼ばれ、勝手に行うことはできません。墓地の管理者や役所への届出などの手続きが必要です。

【どうする仏壇&墓じまい】「実家の片付け」で悩んでいる人はやってみて!

(本原稿は、吉原泰典著『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』を抜粋、編集したものです)