「空いた実家をそのまま貸せばいい」とお話しすると、「リフォームが必要なんでしょう?」とか「そもそも大都市近郊だと可能な話で地方では無理なんしょう?」という反応がかえってくることが多いと語るのは、不動産投資家で空き家再生コンサルタントの吉原泰典さん。その質問に対しては「古くても地方でも大丈夫!貸せます」と多くの方が驚かれるそうです。本連載では、「貸すか売るか自分で使うか」判断の分かれ目はどこなのか? なぜ「そのまま貸す」ことがお勧めなのか? などを解説し、「誰もすまなくなった実家」をそのまま貸すためのノウハウを話題の書『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』の中からご紹介していきます。
放置すればするほど高まる「誰も住まなくなった実家」のリスク
「誰も住まなくなった実家」を放置しておくことは、周辺環境に悪影響を及ぼすだけでなく所有者にも様々なリスクとなります。
さらにそうしたリスクは、放置する期間が長くなればなるほど高まっていくという傾向があります。一般論としては空き家になったら早い段階で対応を考え、対策を講じればいいのですが、なかなかそうはいかないのが「誰も住まなくなった実家」の難しいところです。
当事者の皆さんならおわかりでしょうが、最初は気になって「なんとかしよう」といろいろ考えますが、簡単には答えが見つかりませんし、どこに相談すればいいのかもわかりません。そもそも、まとまった時間をとって実家に帰るというのも面倒です。仕事や家庭のことに追われ、いつの間にか忘れてしまうというのが実態ではないでしょうか。
建物の価値が低下するリスク
空き家のリスクとしてまず挙げられるのが、建物の価値が低下することです。
そもそも日本の不動産市場では、木造住宅の市場価値(売買価格)は築20年もすると大幅に低下します。それでも「普通に生活できる状態」なのと「そのままでは住めないほど傷んだ状態」では当然、差がつきます。
空き家は普通、窓を締め切ったままなので、どうしても内部の空気が淀みます。そのため湿気がこもり壁や床、天井などの建材や建具の劣化が進みます。
また、台風や大雨で雨漏りが起こると、木造住宅では柱や土台などの木が腐ったりシロアリの被害を受けやすくなったりします。住んでいないことでそうした被害に気づくのが遅れるということもあります。
さらに、貸すことを考えると雨漏りやシロアリの被害は直す必要がありますし、傷んだ内装の補修が必要になることもあるでしょう。あるいは、そうした補修を諦めて建物を取り壊すとなればそれはそれで費用がかかります。
実際の金額はエリアや敷地の道路付け(大型の重機が入れるかどうかなど)の条件で違ってきますが、木造2階建てで延べ床面積150㎡程度の建物であれば200万円程度はかかるといわれます。